@ 月見ル君想フ

2008 03 08

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photo by Yuya Hatakeyama
僕にとってLinaLinaのライブは2回目である。
前回の記憶がはっきりしないけれど、その時はたしかバンドスタイルで、気の合うミュージシャンたちと一緒だった。歌う姿を観て「小鳥みたいに楽しそうに歌うのだな」と感じたのをよく憶えている。


急遽決まったという今回のライブ。演奏前にLinaLinaは「今日は不安だらけ」と困ったように話していた。
でも肝心の演奏が始まれば、そんな不安は―少なくとも僕には―すこしも感じられなかった。1曲目こそ、本人も観ているほうも緊張していたようだけれど、大きな月の下でウクレレが優しく奏でられるごとに、どこか懐かしいような歌声が響くごとに、会場の空気はやわらかく、温かみのあるものへと変わった。
そうして僕はといえば、LinaLinaの演奏を聴きながら、冷えたビールをちびちび飲みながら「もし、いまここがハワイだったらな。もし、明日ハワイでこの演奏を聴けたらな」と、海のむこうの、彼女の音楽的ルーツとなる場所へ思いを馳せていた。やっぱり彼女は小鳥みたいだとも思いながら。
素晴らしい音楽はどんな言葉や説明も必要としない―
本来そんな風に考える僕にとっては、このレポートも実はまるで蛇足なのだけれど。
奥田高大(ライター)