ボクと明日_1
ボクは17歳。ボクの家は海の前だけど、ボクは海には関心がない。産まれてからずっと海の近くにいるのでありがたみがないのだろうか、海を毎日見るけれど、波を毎日チェックするけれど、海には入らない。ってか海ってそんなオシャレなもんじゃないし。ワカメなんてウヨウヨしてるし。ボクにとって海は、そこにあってアタリマエなんだ。。。。。。。。。。。。。
ボクは高校2年生。家から自転車で通える地味な県立高校に通っている。ボクはサッカー部だけど、決してサッカーは上手くない。だからAチームではなく控えのBチームだ。さらにBチームの中でも決してテクニックがあるほうではないのであまりボールは回ってこない。サッカー部に入ったのも、小学生から仲良しの裕太が小学校3年生の時にサッカーをやるっていうから一緒にはじめただけだ。当の裕太はとういうと、やっぱつまんねえと言い残し、半年たった秋で辞めた。現在、裕太は毎日彼女とイチャイチャしている。裕太は17歳の夏を満喫していて楽しそうだ。少し羨ましい。ボクはというと、好きなコもいたりいなかったり、もちろん付き合ったりもするけれど、なんか面白くないんだ。だからといってゲイでもない。女の子に興味がないわけでもない。そんな感じだから三ヶ月前から付き合っている彼女とは自然と連絡をとらなくなった。いつもこんな感じだ。
3ヶ月前にその彼女とボクをくっつけたのは隣の隣家に住む同級生の奈津子だ。奈津子は小学校5年生の時に東京から引っ越してきた。奈津子は引っ越してきた時、東京の雰囲気を全身に放っていて、皆が話しかけずらかったのを強烈に覚えている。それを感じとった奈津子は最初はとてもおとなしい子だった。だけど一週間くらで東京のお嬢さんは田舎の海沿いのジャジャ馬へと見事に変わってしまった。そんな奈津子も同じ高校に通っているが、なぜか毎回キューピット役を買って出ては誰かと誰かをくっつけている、高校生なのに、オバサンな奈津子。ボクは奈津子にもう少しおとなしくしてほしいと前から思っている。だけど奈津子も17歳をそれなりに楽しんでいるようにみえる。
ボクのまわりは皆、楽しそうだけど、ボクは最近なんだか空っぽだ。正確に言えば空っぽなんだ、ということにごく最近気付いた。いつものようにチャリンコに乗りながらハッキリと気付いてしまった。ボクは明日があるのかと考える。もちろんボクには毎日毎日明日が来るけれど、本当の明日っていうのは、もっとワクワクすることなんじゃないか、と思えてきた。明日が来る事にワクワクするってこと。ボクにはそんな経験もないし、想像もつかない。そもそもワクワクってなんだ?ワクワクってどんな感じなのか? ワクワクって何色? グレーでもワクワクなのか? やっぱり赤とかピンクとかなのか? ワクワクってどんな感じ? 今日=空っぽ から 明日=ワクワク に いつ変わるのかな。ボクと明日はどのくらいの距離があるのだろうか。きっとこの自分の部屋から宇宙の月くらいまでなのかな。なんて思っていたら眠くなってきた。こんな感じなら、きっと明日も空っぽだろう。
空っぽの明日は正確には「明日」とは言えないから、なんて言ったらいいのかな。空日。くうじつ。empty day. なんかありそうな名前で嫌だな。なんかないかな、チャーミングな名前。からっぽ=空き缶。そうだ、アキカンにしよう。アキカンってカタカナにするとミカンの一種のような気がするし、出来損ないのミカン、ミカンになれないミカンのような感じがしてチャーミングだな。色は黄色でもオレンジでもない、かといって緑でもない、きっと茶色だな、アキカン。きっとアキカンは甘くもなく、すっぱくも無く、かといって美味しくもなく、なんとも言えない味なんだろう。っということで今日からボクの明日はアキカンだけど、ボクは毎日茶色のアキカンの連続だけど、いつかアキカンからミカン、あっイヤ、アキカンから明日に変わってみせる。毎日茶色ではなくカラフルな夢が見れますように。そう思うと少しだけいつもと違う気になってきたボクは、茶色くなった枕カバーでそろそろ眠りにつくことにしよう。(つづく)